2014.07.12 狂信的スバリスト レヴォーグに乗る @

2013年 第43回 東京モーターショー で、現在の 富士重工業 の勢いと、レヴォーグ に賭ける 「深い想い」 を感じさせる、非常に凝った演出でベールを脱いでから 8か月。

 ついにそのステアリングを握ることができる日が訪れた。

 その間、我々 スバリスト の間で、「今度の レヴォーグ どうでしょうねぇ?」 といったことを聞いてくる人間はいなかった。

SUBARU プレスブリーフィング 第43回東京モーターショー

初代BC/BF型1996年6月 の BD/BG型のマイナーチェンジ、BE/BH型、苦しい国内の販売状況にも関わらず、到底世界中の他のメーカーでは考えられない徹底的なブラッシュアップを怠らなかった BL/BP型、新世代の スバル の フラッグシップ、2.0 GT DITの登場、歴代のレガシィ のその節目節目で、富士重工業 はしっかりと 我々スバリスト の想いに、それをいつも大きく上回る 情熱 と 完成度 で応え、数多くの レガシィ を愛する人々を生み出してきた。

 だから、別に心配することなんて、何もなかった。1月 の予約受付開始時点で、代替の時期を迎えた私の周辺の知り合いは、躊躇なくオーダーを入れる人間が相次いだ。再び 富士重工業 の技術者たちの込める 「渾身の想い」 を共有することができる機会が巡ってきたのだ。当然のことだ。

 私自身の レヴォーグ に対する 「想い」 は、この 東京モーターショー で レヴォーグ がベールを脱ぐ 前日にアップロードした 日本模型 1/18 レオーネ スイングバック 1.8 4WD で、余すところなく書き綴った。私はこのネタを レヴォーグ のすべてが分かってしまう前にアップロードしたかった。

 レヴォーグ は、スバル が長い時間をかけて紡いできた 「ヒストリー」 をすべて携え、そして 富士重工業 の未来に向けた新しいチャレンジを 「言語」 として生まれてくる。

 みんな、乗ることができる日が訪れるのを心待ちにしていた。4月、発売が 6月20日 へ 1か月 伸びるアナウンスがあった。もう気が狂いそうになっている人間が出てきていた。顔を合わせるたびに、私に対して 富士重工業 に対する 罵言雑言 を並べ立てられるのには正直参った。

 だから「じゃあ キャンセル すりゃいいじゃない?」と言ってやるのだった。すると彼は途端に泣きそうな顔になって黙ってしまうのである。だが、つい先日 ブルースティールグレーメタリック の 1.6GT-S EyeSight が納車された、と連絡があった。

 全国でも最も早い納車だったのではないだろうか。彼はその翌日から週末にかけて仕事を休んだらしい。どこに行っていたのかは、まだ聞いていない。

6月。私は忙しかった。

 正確にいえばいつも忙しい。だが、それにも増して、「貧乏暇なし」 の度合いはさらに高まっていた。まるで私に 「こいつに死ぬまで仕事をやらせたらどれだけ仕事が捌けるか?」 とばかりに試されているかのようだった。

 なにしろ、レガシィB4 2.0GT DIT を購入してから 1年半、まともに走った距離は 1,000km に満たない。

 BC5 など、あまり乗れないので半年以上ボディカバーをかけてガレージに放置したままだ。私は走る人間だ。そんなのは絶対に我慢がならない。半年掛かりで仕事をサボる口述を周到に準備した上で、先日、ようやくレガシィB4 2.0GT DIT を オートポリスの走行会に連れ出すことができた。

 取って付けた 「お悧巧な理屈」 で、BMG / BRG をコケにした メディア や 評論家 は 阿呆 であるばかりでなく、ドライビングスキル も 自動車に対する見識 も持ち合わせていない。特に 「スバリストの苦悩はいつまで続くのか」 と、BMG / BRG ばかりか、我々 スバリスト までコケにした 馬鹿野郎 を私は絶対に許さない。

 もうあんた、スバル に乗る必要ないよ。一生 BMW4シリーズ に乗ったまま、降りてくるな。喜んで ドア の ロウ着け にはお伺いするよ(怒)。

 GDB型 インプレッサWRX STI タイプRA スペックC で、かつて私が出したベストラップから、わずか 3秒落ち のタイムを記録した。BC5 レガシィRS より 1.5秒 速い。タイヤは ポテンザ RE050 のままだ。オートポリスはテクニカルなコースだ。パワーがあればタイムが出る、というサーキットではない。

 ちなみに、この 1.5秒落ち の BC5 は、GC8型 インプレッサWRXタイプRA STIバージョンIII のエンジンとドライブトレインをスワップした車両だから、厳密にいえば、「本物の」 BC5 レガシィRS より 4 〜 5秒見当 で速い、ということになるはずだ。

 Dセグメントの 4ドアセダン で、ここまで早いタイムで走れるクルマは、グローバルでもちょっと思いつかない。ブレーキングでアンダーステアを殺すこともできる。コーナーの入り口で少し頭をインに向けることもできる。それは、スバル の誇る究極のAWDシステム 「VTD-AWD」 の恩恵だ。レヴォーグ では、ここに アクティブ トルク ベクタリング という新たな制御が加わる。

 FA20型直噴ターボエンジン を搭載した BMG / BRGレガシィ 2.0GT DIT が、BL / BP型 から 「失ったもの」 など何もない。そこにあるのは、富士重工業 技術陣の地道な研究開発の成果が実った「顕著な正常進化」 のみだ。8速マニュアルモードをパドルシフトで回転を切り刻みながら駆け抜ける喜びは、歴代の レガシィ を知る者にとって筆舌に尽くし難い。

 スバル ほど長い時間、AWD に血道を上げてきたメーカーは、世界のどこにもない。シンメトリカルAWD 以外のメカニズムはマネをすることはできる。だが、駆動力制御型AWD でモノを言うのは、ハードではない。それを 「どのように制御するか」 という ソフトウェア だ。

 そこには、表に出るもの出ないものを含めて、長い年月をかけて 富士重工業 が AWD について繰り返してきた膨大な試行錯誤の 「技術的蓄積」 がある。「いつ、どのように、どれくらい、どのメカニズムをどういう風に動かすのか」という パラメータ の設定と 制御ロジックの構築 は、どれほど電子制御化が進んでも、人間がやらなければならない仕事なのである。

 EyeSight についても同じことがいえる。

 最近のネタを拝読させて頂く限り、そろそろ広島の某メーカーへの就職も近いと思われ、そのことを私は心よりお祝い申し上げたい 某親方評論家 は、「こんな技術どこでもすぐに追いつく」 といったようなコメントを繰り返しているが、果たしてそうだろうか? パーツサプライヤー任せでどうにかなるような技術ではないと思うのだが。富士重工業 は このステレオカメラ を利用した プリクラッシュ セイフティ システム の開発に 1989年以来、実に 25年 もの歳月が掛かっているのだ。

 プリクラッシュ セイフティ システム で難しいのは、まず対象物をどのように捕捉するのかという 「認識技術」 、そして、その 「認識」 に対して、どのように車両制御をするのかという一連の動作を連携させる部分だ。一般の路上で、こういったシステムを適確に動作させるために必要な パラメータ は、ほとんど無限といえるほどの組み合わせが考えられる。

 当然ながら、その 「無限」 のパラメータ をシステム全体の動作に反映させるための 「技術的蓄積」 は、一朝一夕でできるものではない。そして、おそらく、EyeSight という画期的なシステムの開発の途上で、システムの構築に必要なパテントの出願も膨大な数に上ることだろう。

 EyeSight が登場してから、世界中のメーカーが慌てて似たようなシステムを搭載して発売した。しかし案の定、システム自体の信頼性については語るに及ばず、パラメータ をどのように車両制御に反映させるかという 「技術的蓄積」 の不足が露呈している 「お粗末」 なものばかりだ。到底 EyeSight と並んで評価できるものは存在しない。

 EyeSight 登場以降、自分たちの送り出した クルマ の ユーザー の 「命」 が 掛かっている安全技術で、こうした 「お粗末」 なものを送り出すことができたメーカーについては、既存のクルマも含めて、その 「モノ造り」 に対する 「根本的な考え方」 を疑われても仕方がないだろう。

 その 富士重工業 が 「やる」 と言っているのだ。レヴォーグ が素晴らしいクルマであることは間違いない。だが、どう考えたって レヴォーグ の誕生に合わせてディーラーに足を運ぶことはできそうもなかった。

 レヴォーグ の発売が迫るにしたがい、私の苛立ちは頂点を迎えつつあった。仕事をサボるには、周到に準備した 「口述」 が必要だ。

 そこに幸運にも救いの神が現れた。私は一も二もなく、レヴォーグ の誕生に合わせて、全国各地で開催されるという 「LEVORG DRIVING EXPERIENCE」 に応募した。すでに 東京・大阪 で行われた開催では、かなりの倍率になったと聞いていた。

 俺が当たらない訳がないだろう!私は当選の連絡が届く前から、 開催までの1か月間を、仕事を 「すっぽかす」 ありとあらゆる手段を講じることに精魂を傾け始めた。


2009.5.20 新型BR・BMレガシィ誕生!TOPへ次ページへ次ページへ