ハセガワ 1/24 スバル レガシィRS 1991 RACラリー

ハセガワ 1/24 スバル レガシィRS 1991 RACラリーハセガワ 1/24 スバル レガシィRS 1991年 RACラリー(アリ・バタネン/ブルーノ・ベルグランド)

今回はハセガワレガシィRSのWRCバージョン。作例は製作が10年以上前のものなので、ジャンクヤードからの生還。したがって、デカールの変色、パーツの脱落など、まああまり体の良いものではないので予めご承知置きを。

 スバルからWRC参戦を請け負うまでのイギリス・プロドライブ社を語る「キーワード」といえば、代表であるデビッド・リチャーズ氏がかつてのアリ・バタネンのコ・ドライバーで、BMWからの委託を受けて「M3」をターマックラリーで走らせていたこと、また、ポルシェからの委託を受けて、あの「グルッペB」、こと ポルシェ959 をパリ〜ダカールラリーで走らせていたことなど。

 M3でも959でもこの「ロズマンズ・カラー」は見られるし、特にERC(イギリスラリー選手権)ではこのカラーを纏って走っていたようだ。 プロドライブ・レガシィでこのカラーで走ったのは、この「RACラリー」(1991年、1992年)と、件のERC国内選手権で、WRC格式の「RAC」と大方の国内戦では「Rothmans」のロゴが作例のように「Rallying」に変えられているのだが、ごくまれに「Rothmans」ロゴで国内選手権を走っていたこともあったようだ。

 でも、BC5レガシィにもとても似合っている。

 実車ではステッカーショップ「デカルコ」のオーナー、キノシタさんが、私の愛車と同じ「RSタイプR」を、このロズマンズ仕様に仕立てて、各方面でも取り上げられて、とても有名だった。

ハセガワ 1/24 レガシィRS 1991 RACラリー

 こうしたコンペティションカーでも見所・作り所といえば、やはりどこまで実車に近づけているのかという点。

 ノーマルの場合と違って難しいのは、実車の取材がそう簡単にいかないことだ。それは作り手の立場にしてみてもそうで、各戦毎に変わる仕様をモータースポーツ関係書籍に求めることになる訳だが、この時期、今は亡き山海堂の「RALLY・X」はまだ各戦毎の発行ではなかったし、STiの「BOXERSOUND」にしても気前良くあっちこっちを見せてくれている訳でもない。

ハセガワ 1/24 レガシィRS 1991 RACラリー シャシー

ノーマルとはまるで違う形状の前後クロスメンバーから伸びるアーム、リンク類は、やはりゼイ肉が削ぎ落とされて、とてもほっそりとした美しい形状で見ているだけでもため息が出てきそうである。

ハセガワ 1/24 レガシィRS 1991 RACラリー(F)(R)アクスル

フロントのアンダーガードを外して見るとこうなる。エキゾーストマニホールドはノーマルと同じである。X-TRAC社製改プロドライブ内製トランスミッションはマグネシウム製のケーシングだろうか。ただし搭載位置はノーマルと変わらない。グループAではこうしたところはベース車両からの変更ができなかったのだ。

 その周辺のパーツ構成はベースとなった「レガシィRS」とは全く違う。すべてコンペティション車両らしい合理的で機能的、ムダを徹底的に排除しながら強靭な強度を誇る芸術品のような逸品だ。

ハセガワ 1/24 レガシィRS 1991 RACラリー 室内

トリムカラーはBC/BFでは複数あって、こと輸出仕様では国内仕様とは違ったトリムカラーが存在するのかもしれない。だから正直、資料からトリムを特定するのは困難だ。作例を製作したときに見た資料では、レガシィRSの国内向け実車に比べて赤っぽく明るい色調に見えたのでこのようなトリムカラーにした。

 そういえば、1992年の1000湖でのマクレーは数え切れないほどのコースアウトの挙句に、見事にレガシィのルーフがこのロールケージの形状に沿って潰れていたっけ・・・。

ハセガワ 1/24 レガシィRS 991 RACラリー 室内

2スポークのステアリングホイールはアレンの好みだったのだろうか。

 このハセガワのプロドライブ・レガシィのモデルは、おそらく1990年のヨーロッパラウンド初戦リタイヤに終わって、イベント終了直後に一度来日した、1990年アクロポリス出場車両だと思われる。

 おそらくこの1991年のRACでは、すでにMOMO製の3スポーク・バックスキンに変わっていたように思えるのだが・・・。

 この下部をストリップダウンしたダッシュボードにレッドのアルマイト処理のパネルというコックピットの構成は、基本的に試作型から1993年のニュージーランドまで変わることがなかった。

 試作型では液晶デジタルのタコメーターで、これは先述のアクロポリスまでにSTACK社製のコンベンショナルなアナログに変えられていた。

時間が許せばダッシュボード裏の配線類まで再現したいところだが、実際、そう思わせてしまうほどディティールの再現性が高いのである。たとえば、私の愛車にも取り付けているプロドライブ製シフトノブややはりアルマイト処理のサイドブレーキレバーなど、その緻密な再現性には、当時日本で追っかけをしていたスバリストなどは、ちょっとドキドキしてしまうほどだ。

 もっとも、後のインプレッサ555やインプレッサWRCあたりに比べればスペシャルな印象には乏しいのだけど、アレンやバタネン、そしてマクレーの、あのレガシィの華麗なサイドウェイの芸術がここで奏でられていたのだと思うと、まさしく感無量(涙)。

次回はこのモデルのバリエーションを紹介。


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